2022年最初の更新となります。
今年も中国茶を中心にお茶の情報を発信して参りたいと思います。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
年頭は一年の計を考える時期でもあります。
そこで今回はその基礎データとして、”日本のインターネットの世界でお茶という飲み物が、どのくらい関心を集めているのか”を、少し見てみたいと思います。
いまやインターネットの世界は、現実の世界と匹敵するか、それ以上の影響力を持つこともあります。
その人気度合いを知っておくことに越したことはないでしょう。
Googleトレンドをご存じですか?
世界のインターネットは、中国などの例外を除いて、世界企業Googleが多くの場所に絡んでいます。
オンラインで何かを探そう、何かアクションをしようと考えれば、スマートフォンやパソコンのブラウザの検索窓に文字を打ち込むことになります。
その奥に繋がっているのは、ほとんどがGoogleのサーチエンジンです。
また、多くのユーザーが使用しているスマートフォンの基本ソフト・Androidは、Google
ユーザーがインターネットを通じて行う活動の多くの場面でGoogle
そのGoogle社が提供しているサービスに Googleトレンド というものがあります。
Webサイトの制作・運営やオンラインショップなどで、インターネットマーケティングを行っている方なら、「何をいまさら・・・」というぐらい必須のサービスではあるのですが、一般の方はなかなか触れる機会の無いサービスかもしれません。
検索数の相対比較ができる
Googleトレンドを使えば、色々なことがリアルタイムに分析できます。
今回は分かりやすいテーマとして、お茶のキーワード(具体的には「中国茶」、「台湾茶」、「日本茶」、「紅茶」)に対しての「人気度の動向」を時系列で見てみたいと思います。
これは分かりやすく言えば、そのキーワードがどれだけインターネット上で検索されたのかを相対的に表すものです。
最も人気のあった時を100としているので、人気が半分になれば、数値は50に落ちるという具合で、折れ線グラフとして表示します。
現在、最大で2004年1月から現在までのデータを見ることができるようになっています。
つまり、インターネット上での「中国茶」「台湾茶」の2004年~現在までの人気度の上がり下がりが分かるというわけです。
実際グラフを見ていただければ、より分かりやすいと思いますので、早速見てみたいと思います。
「中国茶」の人気はピーク時の3分の1程度に
まずは中国茶です。
グラフを見ると一目瞭然ですが、完全な右肩下がりのグラフになっています。
ピークは2004年2月ですが、これは一時的な上昇だったようです。
おそらくテレビ番組の影響などの要素が働いていると思われます(最近だと2018年12月に山がありますが、これは「マツコの知らない世界」効果と思われます。テレビの影響力は大きいのです)。
2004~2006年くらいまでの実質的な平均ラインは30前後ではないかと思われます。
一方、ここ2年ほどの数値の平均ラインは10前後と見られます。
ざっくり言えば、2004~2006年頃のだいたい3分の1程度の人気であるということです。
当時の状況をご存じの方であれば、概ね感覚値に近い数字ではないかと思います。
最近、中国茶を始められた方からすると、そんなに人気だったのか!と思われるかもしれません(実際、各地に多くの専門店がありました)。
台湾茶はやや上昇傾向だが、ティースタンドの影響をどう評価するか
続いて、台湾茶を見てみましょう。
2004~2008年頃までは、中国茶の一分類として台湾茶が位置づけられがちだったこともあり、安定的な数字ではないように思われます(検索数が少ないとゼロになる)。
数字の動きは、中国茶の急激な上昇と一部連動している面があるので、テレビなどの影響が大きそうです。
2010年前後から、日中関係の悪化などで台湾茶を中国茶から切り離す傾向があったからか、ネット上の台湾茶は安定した存在感を見せるようになります。
そして、2013年に春水堂が日本に進出してから、これ以後の「台湾茶」の人気は珍珠奶茶(タピオカミルクティー)の影響も大きく作用し、右肩上がりで推移していることが分かります。
いまの「台湾茶」のトレンドには、伝統的なリーフティーとティースタンドのお茶が混在しているように思われます。
これをどう見るかですが、少なくとも台湾茶の人気度は、中国茶の傾向とは異なっていることが分かります。
日本茶、紅茶はどうか?
日本茶
紅茶
日本茶、紅茶は専門外のため、特にコメントを行う点はありません。
数字だけを見ると、日本茶は、ほぼ横ばい程度での推移になっています。
雑誌などでは「新しいスタイルの日本茶」を採り上げることが多くなっている印象ですが、ネットでの人気はそこまで急上昇というわけではないようです。
紅茶については、きわめて堅調な推移を見せています。
コロナ禍以降も徐々に下限を切り上げており、人気は徐々に高まっているようにも感じます。
他の嗜好飲料はどうか?
コーヒー
ワイン
参考までに、他の嗜好飲料から、コーヒーとワインを採り上げてみました。
コーヒーは2010年代に入ってから、明らかな右肩上がりで推移しており、コロナ禍でも人気を高めているようです。
嗜好飲料の中でも優等生的な伸びなので、お茶関係者の方もぜひ研究し、良い部分を参考にしたいところです。
一方、ワインについても徐々に右肩上がりで推移していたのですが、コロナ禍の影響を受けた様子が見られます。
飲食店での飲酒の制限などが、需要に影響を与えたのかもしれません。
戦略は正しい現状認識から始まる
今回は非常にざっくりとした分析ではありますが、ネット上でのお茶の人気をGoogleトレンドで見てみました。
どこまで参考になるかは分かりませんが、中国茶・台湾茶に関しては、グラフの動くタイミングで何かが起こったことが多く、概ね実情を表しているように感じます。
さて、ここからが大事なところなのですが、この情報をもとに、どのように行動を変えていくかです。
「中国茶の人気が落ちているから、何をやってもダメだ」と考えるのか、「他の嗜好飲料、たとえばコーヒーはコロナ禍でも伸びている。その取り組みを研究して、ぜひお茶に活かそう」と考えるのでは、全く違った結果になると思います。
戦略は現状と理想の姿のギャップを埋めていくことによって立案されるものです。
まずは現状をしっかり認識した上で、数年後に実現可能な理想を考え、そのギャップをどうやって埋めていくかを考えること。
これを少しずつ積み上げていくことで、グラフを右肩上がりにすることも、大いに可能だと思います。
お茶が嗜好品として、コーヒーやワインに劣るとは到底思えないので、おそらく伸びていないのは、戦略が間違っているか、そもそも戦略などなく流されているだけの結果だと思われます。
次回は2月1日の更新を予定しています。