記録的な高温と干ばつが茶産地を襲う
今年の夏は世界的にも暑い夏だったようですが、中国も記録的な熱波に見舞われていました。
気温が40℃を越える都市が続出し、中国気象局が発出する高温警報は7月下旬からずっと発出されたままとなっていました。
もっとも厳しいとされる「赤色」の警報(気温が40℃を越える見込みの場合に発出)が、2週間連続で出たままになる都市が続発するなど、過去最高の熱波に見舞われました。
その範囲は、中国の中央気象台の発表によれば、以下の通りです。
今回の高温警報が発出された地域は、ほとんどが中国南部です。
中国には、特に暑い街のことを、俗に「中国四大火炉(かまど)」と呼ぶことがありますが、それに選出される常連都市である重慶、武漢、南昌、長沙、杭州、福州などは、上記の図で見ても、特異的に暑い都市であることが分かります。
そして、この高温警報が出ている地域は、茶産地が多いということも特徴です。
各地で茶樹の被害が報告される
今年は7月の時点で、かなりの熱波が予測されていたことから、西湖龍井茶の産地などでは遮光ネットなどを用意して、暑さに備える動きが出ていました。
西湖龍井茶は2013年にも熱波を受けて、茶樹への損害が出るなどしたことから、いくつかの高温対策を行っており、それがこうした遮光ネットや灌漑設備などです。
これによって、随分と軽減されたはずだったのですが、8月になってからも熱波の勢いは留まることを知らず。
深刻な被害が出始めます。
西湖龍井茶は比較的知名度が高いためにニュースの数も多いのですが、それ以外の地域でも多かれ少なかれ、高温によって、茶葉の樹冠の一部が枯れたようになってしまう現象が見られたようです。
西湖龍井茶の様子を見ていると、樹齢が比較的若く、根系が発達していない茶樹ほど、被害に遭ってしまう傾向があったようです。
日頃の茶園の管理もありますが、灌漑用水を得やすい場所であったかどうかなど、環境要因も大きく被害状況を左右しているようです。
被害状況や来年のお茶への影響はどうか?
中国のネットなどでは、「西湖龍井茶の9割が枯れた」というようなデマも出ているようです。
実際のところは、どうなのでしょうか?
中国の熱波は8月24日以降に一段落してきたようですが、その時期のニュースではこのように報じられています。
西湖龍井茶の産地では、概ね1割くらいの茶畑に、樹冠の一部が枯れるなどの症状が見られるようです。
来年のお茶への影響がゼロということはおそらく無いでしょう。
もっとも、樹冠の一部が枯れても、樹自体が枯れたわけでは無く、水分をきちんと得られていれば、緑色の葉がまた再生していくものです。
現在、各茶産地では、灌漑によって、茶樹自体を維持する活動をしていますから、それが功を奏すれば、影響は最小限に済むかもしれません。
※熱波だけで無く、雨不足の干ばつも並行して発生しており、長江の水位が著しく低下しているのは不安材料ではありますが・・・
いずれにしても、気温が下がる秋頃に、茶樹の再生がどのくらい進むかによって、来年のお茶への影響が見えてきそうです。
センセーショナルな写真や報道も多いのですが、もう少し、じっくりと影響を見極めたいところです。
次回は、9月16日の更新を予定しています。