中国では早くも新茶シーズンがスタートしています。
例年2月頃から雲南や海南島などで茶摘みが始まり、2月下旬~3月上旬には四川、浙江省南部へ。
そして、3月中旬~下旬には西湖龍井茶や洞庭碧螺春茶、安吉白茶といったメジャーなブランドの茶摘みが始まり、ここから清明節へ向けて、新茶の市場も一気に活気づいてきます。
この時期は、各茶産地のブランドを管理している同業者団体や地元政府などが、様々なイベントを設けたり、記者会見を開いたりして、各茶産地の茶摘みスタートを宣言するのが、最近の恒例となっています。
※実際には一部の茶農家がフライングで摘み始めたりするのですが・・・
そうした現地のニュースから、今年の主要な名優緑茶産地の状況を簡単にご紹介したいと思います。
四川・蒙頂山
報道によると、四川省雅安市名山区では、3月2日に恒例の”初カゴ茶”の発売が行われたそうです。
会場となった名山区にある茶馬古城交易ホールには、500名あまりの茶商が集まり、3000kg前後の茶葉が取引されたとのことです。
蒙頂甘露、蒙頂石花、蒙頂黄芽などが既に発売されています。
浙江・銭塘龍井/越州龍井
日本での知名度は今ひとつですが、西湖龍井より早く出回り、龍井茶の生産量の95%を占めるお茶です。
大佛龍井のブランド名で知られる、紹興市新昌県においては早生品種(烏牛早など)は3月2日頃から摘み始めていたとのことです。
銭塘龍井の集散地である千島湖茶葉卸売市場は3月5日に、市場が開き、3月14日迄に51トン、5400万人民元の取引が成立しているなど、市場は本格的に動き始めています。
両産地に共通していますが、今年は冬の寒さが厳しかったことから、例年に比べると5日ほど茶摘みが遅れたほか、3月9日、10日には一部の産地で霜害も発生しているとのことです。
とはいえ、悪いことばかりではなく、冬が低温であった分、品質は良好との報道もされています。
いずれの産地も早生品種である烏牛早の茶摘みはピークを越えてきており、続いて龍井43号などの品種の茶摘みに主力は移ってきているようです。
浙江・西湖龍井
3月16日から一部の茶農家が少量ずつ摘み始めたほか、3月18日には西湖龍井茶の一級保護区である翁家山で茶摘みが始まったとのことです。
3月19日には広い範囲で茶摘みが始まったようで、この日が産地全体の茶摘みスタートになったようです。
いずれも、まずは早生品種の龍井43号の茶摘みが始まっており、今月下旬には在来種の茶摘みがスタートすると見込まれています。
年末の雪の影響なども特になく、むしろ寒さが影響して、品質は高まっている、との声があります。
江蘇・洞庭山碧螺春
3月14日の記者発表会での発表によると、今年は3月22日から茶摘みを開始し、27日にはまとまった量の発売が出来る見込み、とのことです。
今年は、1月と2月の気温が低く推移したものの、3月には暖かさが戻ったため、発芽の時期は平年並みの見込みとされています。
ただ、洞庭東山、西山地域は、観光地化が進んでおり、観光茶園化した茶園では茶摘みが出来なくなっていること、外部の茶摘み人のコストが上昇してしまい、人数も減少していることなどから、産量の減少が見込まれています。
具体的には昨年は100トンの生産だったものが、今年は95トンに留まる見込みとのことです。
それに伴って、高級品の価格は上昇が見込まれており、特一級の価格は1斤3500元以上が見込まれており、その中でも優良なものについては、6000元を上回るだろうという見通しが発表されています。
浙江・安吉白茶
3月18日に上海で行われた記者発表会によれば、今年の安吉白茶の茶摘みスタートは3月26日になるとのことです。
生産コスト上昇の影響から、販売価格もやや上昇することが発表されています。
品質に関しては、春になってからの雨や日照も十分にあるため、出来は良くなりそうとの見通しが示されています。
全般的にみると、1月、2月の寒さは影響を与えているようですが、大きな霜害に見舞われた産地も少なく、大幅な産量減などは無さそうです。
価格については、腐敗撲滅運動などの関係から、依然として高級茶の価格は抑えられがちになると見込まれますが、人件費などの種々のコストは上昇しているため、じわじわと値上がり傾向にあるのは今年も変わらないようです。
次回は3月30日の更新を予定しています。