一般的な日本茶専門店にお茶を買いに行ってみたら・・・
先日の中国行きに備えて、少し日本のお茶を持って行こうと思い、近所のショッピングセンターにある日本茶専門店へ出かけました。
ショッピングセンターによく入っている、チェーンで何軒かお店があるのだろうな、というイメージの普通のお店です。
進物用に使えそうなお菓子やテイクアウトできるような抹茶ソフトクリームなども販売しています。
お茶の販売コーナーを見ると、ちょうど鹿児島産の新茶が並び始めたところでした。
ユニークなことに、このお店は品種茶の品揃えが意外に多く、さまざまな品種のお茶が並んでいました。
が、惜しいことに何の説明書きもPOPもありません。
これでは、それぞれのお茶にどのような特徴があるのか、分かりません。
それぞれの香りの特徴であったり、ちょっとした来歴のようなものがあれば、まったく違うと思うのですが。
パッケージもよくある日本茶の和風なパッケージで、ラベルのみが違う、というものです。
ここにも選ぶ手がかりが何もないのです。
そうなると、あまり日本茶に詳しくない人としては、耳慣れないこれらのお茶には、なかなか手が伸びないでしょう。
店員さんのフォローがあれば別なのでしょうが、明らかにパートの店員さんと思われる年輩の女性の方で、「鹿児島のは新茶になっているんですけど、静岡のはまだです」程度の声がけだけです。
せっかく品種茶を取り揃えていても、これでは意味がありません。
満足感の低い「購買体験」
店員さんは、お茶を美味しく淹れて提供してはくださいましたが、あれこれ聞くのもどうか・・・という雰囲気です。
どうもお茶選びを助けてもらえそうにはありません。
仕方が無いので、定番とおぼしき商品群から選ぶことにします。
「まあ、せっかくだから新茶が良いかな。鹿児島産。これでいいか」
「やぶきたも入れておこう。静岡産で・・・ 上煎茶と普通のがあるのから、一応、上煎茶にしておこう」
と、非常に消極的な選択をしました。
おそらく、あまりお茶に詳しくない方は、このような買い物の仕方になるのだろうと思います。
一般の方が知っている限りのキーワードを繋げて買い物をしようとすれば、こうなります。
それでも、会計をすれば数千円にはなるわけです。
正直なところ、「支払額の割に、この満足感の無い買い物は何なのだ・・・」と感じました。
買い物をしていて、全くワクワクするポイントがありませんでした。
「買い物の楽しさ」を提供することも店の価値
「お茶は日用品だから、そんなものは要らない」というコンセプトなのかもしれませんが、それならば店員さんのプレッシャーも感じることなく、気楽に選べる、スーパーの売り場で買うことを選んでしまうでしょう。
せっかくの対面販売のお店なのに、「新茶」のようなキーワード頼みの販売では、対面の良さが全く活かされているとは思えません。
厳しく言うならば、中途半端にコストを掛けて、このような形式の店舗を維持する意味は、どこにあるのだろうか?と感じます。
もちろん、このお店がたまたま良くなかった、ということなのかもしれません。
が、「購買体験」という言葉が、今や店舗小売業のみならず、オンラインショップの世界でも重視される時代です。
さまざまなお店で、さまざまな購入体験を積み、目の肥えた消費者に選ばれるためには、「楽しい購買体験の提供」という店舗の価値を、茶業界でももう少し考える必要があるのではないかと思います。
中国茶や台湾茶も、一般の方には馴染みが少ないものだけに、この部分を強化することが裾野の拡大に繋がると思います。
分かりやすさと楽しさを、どう演出していくか。
それは接客のみならず、店舗の雰囲気やパッケージ、POP、SNS等を使った商品PRなど、さまざまな点で工夫ができる分野です。
すぐにでも取り組めることはあると思いますので、時々、来店者の気持ちになって、今あるものを見直し、改善を積み上げていくことが、必要ではないかと感じます。
次回の更新は5月30日を予定しています。