中国・江西省に来ています。
5月29日~31日の日程で開催された「2019九江国際名茶名泉博覧会」に出席してきました。
九江市について
江西省の北端に位置する九江市は、北は長江に臨み、市内東部には中国で2番目に大きい淡水湖である鄱陽湖の約7割の面積を抱え、水運を利用した交通の要衝です。
1858年の天津条約で長江沿岸の対外通商港に指定され、1861年には租界も形成されました(1927年に返還)。
現在も長江沿いには、日本の領事館や台湾銀行だった建物が保存されています。
市内には中国の「三山五岳」のうちの「三山」の1つに数えられる廬山を有し、観光資源にも恵まれています。
街は急速に発展を遂げており、GDPの伸び率は江西省ではトップの数値を記録しています。
新たに開発された八里湖地区では、元々ある八里湖の水と自然の森、街をそれぞれ3分の1ずつ配置する、自然と調和した新しい街作りが行われています。
九江市のお茶と泉
歴史的に九江市は、湖北省漢口、福建省福州と並ぶ「中国三大茶市」とされ、お茶の取引の活発な地域でした。
名茶としては、廬山で産する緑茶である廬山雲霧茶と九江市修水県を中心に生産される工夫紅茶である寧紅が代表的です。
お茶に必要不可欠なものは良い「水」です。
陸羽は『茶経』の中で、茶に適した水として「山水上、江水次、井水下」と評し、山泉の水を最良と評価しています。
さらに優れた水として、天下十大名泉を挙げています。
このうちの天下第一泉・谷簾泉と天下第六泉・招隠泉は、九江市にあり、名茶と名水(泉)の産地というわけです。
2019九江国際名茶名泉博覧会
今回のイベントは、中国国際茶文化研究会、中国茶葉学会、中華茶人聯誼会、中国林業集団、九江市人民政府が合同で主催したものです。
中国でも有力な茶業団体と地元政府の組み合わせという形になっており、さらに「国際」という名前が付いているように、世界各国と地域から専門家などを招待しています。
具体的には、イギリス、イタリア、ポルトガル、ドイツ、フィンランド、ロシア、ジョージア、ベラルーシ、南アフリカ、コロンビア、香港、韓国、日本などから約30名が参加していました。
とりわけ、G7で初めて一帯一路に賛同を表明したイタリアからは現職の国会議員が参加していましたし、関係の深いジョージアなどからは複数の参加者があり、様々なバランスが考慮されていたように感じます。
このイベントのメイン会場は、九江市文化芸術センターで、地元の江西省の茶葉会社のほか、浙江省や雲南省など各地の茶葉会社の出店ブースが設けられており、市民も自由に参加できるようになっていました。
また、開会に先立っては、前夜祭として600機のドローンを飛ばし、さまざまな絵や文字を夜空に浮かべるドローンショーも開催されました。
また、廬山の麓にある天下第一泉・谷簾泉を目の前にした、名茶名泉文化フォーラムも開催され、廬山雲霧茶とその文化、水に関する講演が行われました。
このほか、泉文化に関するシンポジウムや2019新時代優質紅茶発展サミット、中国紅茶連盟会議など多くのイベントが3日間で開催されました。
イベントの詳細については、まとめ次第、中国茶情報局にてご報告いたします。
次回は6月10日の更新を予定しています。