お茶イベントの増加
日本国内でのお茶の中~大規模なイベントが増えています。
10年ほど前であれば、お茶のイベントは数えるほどしかありませんでした。
あったとしても専門性があるものは業界向けの見本市で一般消費者を対象にしたものではありませんでしたし、一般消費者向けの場合はお茶に特化したイベントというよりは、物産展の中にお茶が少々・・・というイメージでした。
が、最近は各地でお茶に照準を絞り、専門性もある、消費者向けのさまざまなイベントが開かれています。
このようにイベントが多数開催される流れは、おそらく食全般に来ている一つの大きな流れなのだろうと思います。
まず、「○○フェス」という形で、ジャンルを絞った食の祭典が各地で開催され、それらが盛況であるということ。
イベントを企画する側から見れば、イベントの告知と宣伝が適切に出来れば、ある程度、集客が読める時代になってきています。
「近場で気軽に楽しめるレジャー」という位置づけが各種のフェスには定着しているように感じます。
そもそも、食というのはその場での出来たて感やライブ感も、美味しさを決める非常に重要なファクターです。
何らかの形でジャンルを絞った店舗が一堂に会しているというシチュエーションは、参加者にとっては魅力的です。
イベント会場というのは、どうしても設備(火力等)やスペースの点で限界はあり、出店側にとってはベストの状態で提供できないというジレンマはありますが、多数の店舗を一斉に巡ってみることができるという参加者側のメリットは大きいように感じます。
主催団体による特性
一見同じように見える、これらのお茶イベントですが、さまざまなイベントを回ってみたところ、主催団体によって特徴があるようです。
まず、自治体が主催者となっている場合は、地域PRのためという側面もありますし、地元の方々へ向けたお祭りという側面もあります。
そのため、専門性という点では比較的抑制されたトーンになりがちで、出店者の顔ぶれも地元の出店者が中心になります。
また、茶以外の商品の品揃えを増やしておかないと、肝心の地元の人が来てくれないという懸念があるからか、ややもすると物産展や縁日風になってしまいがちです。
イベントの採算という点では、自治体のイベントということで多くの補助が前提となっており、出店料も良心的なことが多いようです。
業界団体が主催する場合は、業界側として発信したいことが明確に出る傾向があります。
この場合の出店者は、原則として業界団体に属している方々になり、イベントの端々に団体の主張が濃厚に反映される傾向があります。
一方で、消費者の方に向けた視点という部分がやや薄くなりがちでもあり、お茶の詰め放題や安価な急須の特売コーナーなど、従来型の「お茶まつり」の色合いが濃厚で、こだわりのある愛好者とマッチしないこともあります。
販売業者が主催する場合は、基本的には自分の店舗の顧客向けの販促イベントという意味合いが強いのですが、最近は複数の販売業者が連携して開催するケースもあります。
主催者側が顧客の顔をある程度イメージできているからか、顧客のニーズによくマッチしたイベントになる傾向があります。
通常の営業を行いながら準備を行うとなると、担当する人材など経営資源・リソースの問題が生じることもありますが、
採算面では、大きなスポンサーなどが付かない限りは、出店料と入場料などで収支を均衡させるか、企業の販促費として処理が行える程度になるため、会場全体の装飾や宣伝なども主催者側のリソースによる違いが大きいように感じます。
最後に愛好家グループが主催する場合です。
この場合は、愛好家の熱意をイベントとして具現化することを優先する傾向があり、同じ嗜好性を持つ愛好家にはドンピシャリのイベントになります。
企業などの後押しがない限り、基本的にリソースとしてあるのは愛好家によるボランティア精神のみであり、どうしても、その中で出来る範囲のイベントになってしまいます。
また、このタイプのイベントは多くが収益性を目的としたものではなく、あくまで「自分たちがやりたいことをやろう」という善意のボランティアで成り立っているイベントです。文化祭的なイベントと言っても良いかもしれません。
そのため、主催者側のモチベーションによるところが大きく、個人的な生活環境や人的な関係の変化などによって、立ち消えになってしまうこともあります。
選別される時代に
現在のようにイベントが各地で行われる状況になると、イベントの日程が重なったり、近くにありすぎるケースも出てきます。
こうなると出店者、来場者ともに分散し、各イベントの採算をとることが難しくなっていきます。
また、最近は、参加者の方もさまざまなイベントに参加して目が肥えてきていますから、主催者側もよく研究をしないと来場者に満足してもらえるイベントにはならなくなってきています。
それぞれのイベントには個性がありますが、その個性を活かしつつも、全体の趨勢を見極め、変化を加えていくことも必要になるでしょう。
次回は3月2日の更新を予定しています。